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生存記録

僕にあったことを忘れないための目印……

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GoT 断片


ぶっちゃけメモです。
オチなんてない。

義父は堅い聖職者というより”良い人”だった。
俺は姿を見たこともない神に祈ろうなどとは思わないが、義父には誓いも立てるし敬愛している。
信じていればいつか助けてくれる、いつでも神は見守っていてくれる。
たらればや、いつかを望むより俺は現状をどうにかしてほしいと思った。
そんな精神的なものよりも、一番身近で自分を支えてくれる義父が、俺にとって神であった。
毎日教会で祈るのも教会にある想像で描かれた絵にある神に対してではない。
義父に対しての日々の感謝を、ただ真剣にしていた。

傍から見ればファザコンだろうが、義父をそれだけ俺は尊敬していた。

俺の名前には、未来を意味する言葉が含まれる。
義父が俺にくれた宝物。
もっぱら呼んでくれるのは義父くらいだった。
だがそれでよかった。
宝物を無粋に触られる感じは不愉快でしかない。

自分達と違う、というのは恐怖をうむ。
ときに好奇心であったり、嫌悪感であったりもするが、異端分子とは目立つものだ。
そして俺は、ただ突っ立っているだけでも異端だった。
白と赤。
それだけが俺を構成する色。


「いいかい、ヴィルヘルム。」

「私の目も、本当は黒くないのだよ。」

「ご覧。日の光の中では赤茶色になる。」

「薄土色の肌と濃紺な目と髪が絶対ではないんだ。」

一人ではない。
そう伝える義父の言葉が、俺をつなぎとめてくれた。



その義父が亡くなった。

かの人が崇めていた人物の元にいけたのか、楽園とやらに行けたのか。
無神論の俺がいうことではない。
語弊が生まれるかもしれないので付け足せば、俺が信じる義父が信じていたものだからだ。
その世界に行けたのなら、ただ幸せであってくれたのなら、それだけでいい。

だから俺が教会にいる意味はなくなった。

あてはない。
強いて言うならば、死に場所を求めて旅に出る。
義父という安全な策からでる。

先のことなどわからない、誰にもわからない。
ただ、この名前をつけた義父がわかると言っていたら、俺はきっと信じただろう。
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